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保育士試験の合格率は?受験資格や試験内容をおさらい

2026/10/13
資格・仕事

保育士資格を取得するためには、保育士養成施設を卒業するほか、保育士国家試験の筆記試験と実技試験の両方に合格する必要があります。そのため、合格率や試験の難しさが気になる方も多いのではないでしょうか。 本コラムでは、令和5年度(2023年度)から令和7年度(2025年度)までに公表された情報をもとに、保育士試験の合格率や出題科目、受験資格などをご紹介します。実技試験の課題曲や課題作品も取り上げますが、試験日や課題は変更される場合があります。受験前には、全国保育士養成協議会の最新情報を確認してください。

保育士国家試験の合格率は?

一般的に、難易度が高いといわれている保育士国家試験。試験の合格率や試験の実施状況をまとめました。保育士試験では、合格した筆記試験科目を一定期間免除できます。1回の試験ですべての科目に合格できなかった場合でも、次回以降は不合格科目を中心に学習できる仕組みです。年度全体の合格率だけでなく、科目ごとの合格基準や免除制度も確認しましょう。

合格率は約20~30%程度

保育士試験の合格率は、年度や前期・後期によって異なります。近年はおおむね20~30%程度で推移しています。

保育士国家試験 受験者数・合格者数・合格率

年度 受験者申請数 合格者数 合格率
令和7年度 54,807人 10,621人 19.4%
令和6年度 58,767人 15,475人 26.3%
令和5年度 66,625人 17,955人 26.9%

出典:
厚生労働省「保育士国家試験の実施状況」
一般社団法人全国保育士養成協議会「保育士試験」公式サイト

試験の実施日程

申し込み方法の項でも触れましたが、保育士試験は前期・後期の年2回実施されています。筆記試験と実技試験は別日程で行われ、実技試験は筆記試験の約2~3か月後に実施される仕組みです。また「地域限定保育試験」は、通常の保育士試験とは別に受験できるため実質的に年3回の受験が可能となります。

保育士国家試験の合格率が低い理由は?

保育士試験の合格率が20~30%程度にとどまる背景には、筆記試験の科目数が多いこと、科目ごとに合格基準が設けられていること、筆記試験に加えて実技試験もあることなどが挙げられます。

難易度が高い

筆記試験では、保育原理、教育原理、社会的養護、子ども家庭福祉、社会福祉、保育の心理学、子どもの保健、子どもの食と栄養、保育実習理論の9科目が出題されます。 原則として、各科目で満点の6割以上を得点する必要があります。ただし、「教育原理」と「社会的養護」は、両科目で同時に6割以上を取らなければ合格にならない「ニコイチ科目」です。どちらか一方だけが基準点に達しても合格とはならないため、2科目を関連付けて学習し、同じ試験での合格を目指しましょう。得意科目で苦手科目を補うことはできないため、全科目をバランスよく学習しなければなりません。 合格した筆記試験科目には、原則として合格した年を含めて3年間の免除制度があります。一定の条件を満たす場合は免除期間を延長できる制度もあるため、詳細は受験年度の受験申請の手引きで確認しましょう。

筆記・実技両方の試験に合格する必要がある

保育士国家試験では、筆記試験と実技試験の2つの試験が実施されます。筆記試験と実技試験の両方に合格しなくてはならないため、その分、合格の難易度が高く実技試験では「音楽」「造形」「言語」の3分野から2分野を選択し、両方の分野で合格基準を満たす必要があります。保育の現場では知識だけではなく、実践力や対応力も求められます。良い保育士になるためにも、筆記試験と実技試験の合格に必要な基礎はしっかりと固めておきたいところです。

保育士試験の出題科目:筆記試験編

保育士国家試験の筆記試験では、どのような科目が出題されるのでしょうか。科目とその出題内容を紹介します。

全9科目の出題内容

保育原理や教育原理、社会的養護など全9科目から160問が出題されます。それぞれの科目と設問、出題内容は以下のとおりです。なお、筆記試験の解答形式はマークシート方式となっています。

保育士試験 筆記試験出題科目

科目 設問数 出題内容
保育原理 20問 ・保育の意義・目標・方法
・保育の基本・現状と課題
・保育の思想と歴史的変遷
教育原理 10問 ・教育の思想と歴史的変遷
・教育の意義、目的および児童福祉等の関連性
・教育の制度・実践
・生涯学習社会における教育の現状と課題
社会的養護 10問 ・現代社会における社会的養護の意義と歴史的変遷
・社会的養護と児童家庭福祉
・社会的養護の制度と実施体系
・施設養護の実際
・社会的養護の現状と課題
子ども家庭福祉 20問 ・現代社会における児童家庭福祉の意義と歴史的変遷
・児童家庭福祉と保育
・児童家庭福祉の制度と実施体系
・児童家庭福祉の現状と課題・動向と展望
社会福祉 20問 ・現代社会における社会福祉の意義と歴史的変遷
・社会福祉と児童家庭福祉
・社会福祉の制度と実施体系・動向と課題
・社会福祉における相談援助・利用者の保護に関わる仕組み
保育の心理学 20問 ・保育と心理学
・子どもの発達理解
・人との相互的関わりと子どもの発達
・生涯発達と初期経験の重要性
・子どもの発達と保育実践
・生活や遊びを通した学びの過程
・保育における発達援助
子どもの保健 20問 ・子どもの健康と保健の意義
・子どもの発育・発達と保健・疾病と保育・精神保健
・環境及び衛生管理並びに安全管理
・健康及び安全の実施体制
・保健活動の計画及び評価
子どもの食と栄養 20問 ・子どもの健康と食生活の意義
・栄養に関する基本的知識
・子どもの発育・発達と食生活
・食育の基本と内容
・家庭や児童福祉施設における食事と栄養
・特別な配慮を要する子どもの食と栄養
保育実習理論 20問 ・保育実習理論・実技


注意しなくてはならいのが、「教育原理」と「社会的養護」です。両方同時に6割以上(10問中6問正解、または50点満点中30点以上)を取らなければ合格にならない「ニコイチ科目」です。どちらか一方だけが基準点に達しても合格とはならないため、2科目を関連付けて学習し、同じ試験での合格を目指しましょう。試験形式や合格基準の詳細は変更される可能性があるため、受験年度の公式な受験案内を確認してください。

特定の対象者は一部科目が免除される場合も

幼稚園教諭の免許を所持している方は、免除申請をすることで筆記試験の「教育原理」「保育の心理学」と、実技試験そのものが免除となります。また、幼稚園で3年以上(4,320時間以上)の実務経験を積んだ方は、「保育実習理論」の科目も免除となります。

そのほか、社会福祉士や介護福祉士、精神保健福祉士資格を所有している方は、登録証のコピーを提出することで「社会的養護」「社会福祉」「児童家庭福祉」の科目が免除されます。免除の可否や必要書類は、資格の取得時期や実務経験、申請状況によって異なります。対象となる場合でも自動的に免除されるわけではないため、受験申請時に最新の免除制度を確認してください。

参考:全国保育士養成協議会が公表する実技試験概要

保育士試験の出題科目:実技試験編

実技試験では、「音楽」「言語」「造形」の3つの科目から2つを選び、受験します。各科目では、どのような試験内容が用意されているのでしょうか。

音楽

保育士に必要な豊かなリズム感や、伴奏の技術を測定する試験です。ピアノ、ギターのいずれかの楽器を選択し、2曲の課題曲を演奏・歌唱します。楽譜は持ち込むことが可能で、前奏や後奏をつけても問題ありません。なお、過去の課題曲は以下の通りです。

試験実施課題曲

試験実施年度 課題曲
令和7年度 ・ハッピー・バースデー・トゥ・ユー
・証城寺の狸囃子
令和6年度 ・夕焼け小焼け
・いるかはザンブラコ
令和5年度 ・幸せなら手をたたこう
・やぎさんゆうびん

このように、子どもたちの前で弾き歌いすることを想定しているため、有名な童謡が課題曲となります。

言語

3歳児クラスの子どもたちに「3分間のお話」をすることを想定して、実際にお話をする試験です。お話の内容は、あらかじめ出題されている課題のなかから1つを選択します。子どもたちに対して適切な話し方ができるか、聴き取りやすい発声ができるか、抑揚のつけた豊かな表現ができるか、といった点が評価されます。また、試験の条件として、「15人程度の子どもが前にいることを想定する」「3歳の子どもが集中して楽しめるようにお話を3分でまとめる」「適切な身振りや手ぶりをまじえる」などがあげられます。

ちなみに、令和5年度(2023年度)から令和7年度(2025年度)までの課題作品は、次のとおりです。

試験実施年度 課題作品
令和7年度 ・ももたろう
・おむすびころりん
・3びきのこぶた
・おおきなかぶ
令和6年度 ・ももたろう
・おむすびころりん
・3びきのこぶた
・3びきのやぎのがらがらどん
令和5年度 ・ももたろう
・おむすびころりん
・3びきのこぶた
毎年課題として出題されるのは、国内外の有名な童話です。あらすじを3分にまとめることはもちろん、子どもたちを飽きさせないよう話し方の抑揚をつけたり、わかりやすい言葉を選んだりといった工夫も求められます。

造形

造形では、試験当日に示される保育場面の課題に沿って、縦横19センチの枠内に、課題に沿った絵を描きます。保育士や子ども、保育室や園庭などの場面を想定し、人物の表情や動き、背景、色彩を描きます。保育の場面を想定した課題が試験当日に出題されます。使用できるアイテムは鉛筆またはシャープペンシル、12~24色の色鉛筆です。

造形の試験では、「保育の場面を的確にイメージした情景や色使い、人物の描写ができるか」といった点が評価されます。課題は試験当日まで発表されませんので、「園児・保育士などの登場キャラクターのレパートリーを自分のなかで決めておく」、「キャラクターの表情の練習をしておく」などの対策を練り、幅広いテーマに対応できるよう備えることが大切です。くわえて、明るくカラフルな色使いにすることも重要。明るい色や温かみのある色を中心に使い、黒を多用するのは避けましょう。たとえば、砂場を描くとき、グレーや黒ではなく薄い黄色やクリーム色などを使えば明るい雰囲気に仕上げられます。

試験実施年度 課題作品
令和7年度 前期:生活の中で見つけた音を楽しむ遊び
後期:水たまり・泥んこ遊び
令和6年度 前期:空き箱・廃材を使った遊び
後期:ドングリを使った遊び
令和5年度 前期:雨の日の外遊び
後期:模造紙にクレヨンでお絵描き

受験資格の違い

保育士国家試験の受験資格は、最終学歴によって異なります。大学・短大卒業のケースをはじめとする、各最終学歴による受験資格の違いは以下の通りです。

保育士国家試験 最終学歴別受験資格

最終学歴 受験資格
大学・短大卒業 学校教育法に基づいた大学または短大を卒業していれば、学科・学部かかわらず受験資格あり
専門学校卒業 学校教育法に基づいた専修学校であること
・卒業過程が就業2年以上であること
以上2点を満たせば、学科にかかわらず受験資格あり
高校卒業 ・1991年3月31日以前に高校を卒業した場合は、受験資格あり
・1992年4月1日以降に高校を卒業した場合は、児童福祉施設で2年以上、かつ2,880時間以上の実務経験が必要
なお、 高校の保育科を1996年3月31日以前に卒業した場合、 実務経験にかかわらず受験資格あり
中学卒業 児童福祉施設で、5年以上かつ7,200時間以上の実務経験が必要

保育士試験に合格するにはどのくらいの勉強時間が必要?

前述の通り、保育士国家試験は合格率がおよそ20%と低く、しっかりとした対策を練る必要があります。では、合格するためにはどのくらいの勉強時間が必要となるのでしょうか。ここでは、独学で勉強する場合を想定して勉強時間の目安やスケジュールの立て方のコツを紹介します。

一般的には、100~150時間の勉強時間が必要とされています。1日1時間勉強すると仮定した場合、4~5ヶ月程度必要となる計算です。平日は1日1時間、週末や休日には1日3時間と、ライフスタイルに合わせて効率良く勉強時間を確保することが重要となります。まずは、1日、1週間ごとに期間を区切り、まとまった勉強時間が月にどの程度確保できそうかをシミュレーションしてみましょう。

勉強期間を短くしすぎると勉強時間の確保が難しくなり、長くしすぎるとモチベーションを維持することが難しくなるため要注意です。独学からの一発合格を目指す場合、勉強期間は3~5ヶ月程度、長くても6ヶ月程度を目安にすると良いでしょう。

スケジュールを立てる際のポイント

勉強期間の時間の目安をある程度決めたら、スケジュールを組んでいきます。「〇月まではインプット期間、〇月からは問題集で演習、〇月からは総仕上げ」というように、大枠でのスケジュールを決めておきます。

・1~3週目:テキストを読み込むインプット期間、科目を理解する期間
・3~8周目:過去問や問題集を解き、知識を定着させる期間
・8~9周目:間違えた分野を重点的に復習する期間
・試験前:模擬問題や本番形式の演習で時間配分を確認する期間

大枠のスケジュールに合わせて、「〇月までには過去問で最低7割以上の得点をとれるようにしておく」という細かい目標を立てることも忘れずに。くわえて、自身に合った教材を見つけることも重要です。とくに独学で勉強する際は、独学向けのテキストや問題集を選ぶと良いでしょう。解説が入っている過去問題集、一問一答式のテキストなど、勉強の段階別に教材を選びます。

また、独学で合格を目指す場合は通信講座を上手に活用することもおすすめです。仕事と両立しながら勉強を続けている方、家事と勉強を両立している方など、それぞれのライフスタイルに合わせたカリキュラムがそろっている通信講座であれば、なお良いでしょう。

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